あなたはそれでもイギリスに住みますか? 沈むイギリス
憧れの街、ロンドンで何が起きているのか?
観光客の方々がイギリスへくるとまず向かうのはロンドン。
ロンドンのバッキンガム宮殿、ビッグベン、トラファルガー広場、タワーブリッジといった場所では、観光客がごった返して賑わっています。紅茶の老舗フォートナム&メイソンでは450gのチョコレートが1万円、そして5000円のクッキーが、それがバンバン売れていきます。
王室御用達のデパートハロッズではアラブの王様らしき人がたくさんの奥様達を連れて、10万円〜50万円するようなブランド品をはじから指差して買い占めています。
物価高騰で人々の生活が苦しくなっている中、多くの重要な政府機関、歴史的建造物、観光名所が集まっていウェストミンスター自治区であるロンドンの中心部は別世界です。
イギリスのGDP
イギリスの実際の生活はどうなっているのか、最近の実態を調べてみました。
ロンドンのGDP(国内総生産)は7200億ドル(イギリス全体3兆5000億ドル)で北ヨーロッパの主要都市では第1位です。これはノルウェーの1国のGDPより大きい数字です。
しかし、ロンドンを除いた他の地域の全ての一人当たりのGDPはアメリカの最低であるミシシッピー州の3万9000ドルより小さいです。ちなみにロンドンの一人当たりのGDPは8万1000ドルです。
最も貧しい都市
北ヨーロッパのGDPの低い貧しい都市のワースト10は9位がベルギーにあるだけで、残りの9都市は全てイギリスにあります。
子育てにもお金がかかります。イギリスは経済協力開発機構(OECD)の国の中でスイスに次いで、収入に対しての子育て費用の比率が高く、29%と第2位につけています。ちなみにフランスは12%程度になります。
物価上昇で増えるホームレス
イギリス国内の個人収入は物価上昇に追いついていません。
2007年から2015年にかけてはイギリス国内の個人収入は10%減っていて、ギリシャに次ぐワースト2位です。ちなみに10%以上増えている国々は東ヨーロッパです。
5人に一人の大人、3人に一人の子供が貧困の家庭に住んでいます。そして7人に一人の大人が食料が不安で、まともな食事ができないほど貧しくなっています。
1992年から賃金は3倍になりました。一方で家賃は7倍になっています。ロンドンでも29%の市民が貧困な生活に陥っています。ホームレスの数も過去10年で2倍に増えています。ロンドンでは50人に一人がホームレスと言われています。10年前は100人に一人でした。
貧富の差 コロナでさらに拡大
イギリスでは国有資産の90%が民営化されており、1990年頃から貧富の差が拡大しました。お金持ちはどんどん資産を増やしていきました。
コロナで200万の雇用が失われ、1800億ドル(GDPの5%)の経済が縮みました。
1週間の賃金に関してはコロナ後はロンドンでも10%減額しています。2008年から2023年までの週間賃金は£450-500で全く変化していません。これでは優秀な若者は海外に出て働きたくなります。ニューヨークではロンドンの給料の2倍もらえます。生活費はニューヨークではロンドンの1.3倍ですが、それに見合った給料がもらえます。優秀な医者なども海外に行ってしまいます。
住宅や資産を所有している年上の人たちは、どんどん裕福になり、何も所有していない若者達はどんどん貧しくなっています。
イギリスで最も裕福な50の家族の資産がイギリスの半分の家族の資産を合わせた数字と同じと言われています。
沈むイギリス
かつては世界で最も繁栄して先進的な経済を誇っていたイギリスですが、現在は窮地に立たされています。
しかしロンドンの経済は成長しています。富裕層はさらに豊かになっています。
ロンドンは金融業で栄えています。住民の85%が金融業関連の仕事をしています。英語を使うこと、アジアとアメリカの間にあることで金融業にとっては有効な場所となっています。
ロンドンの繁栄でイギリスの他の地域は政府から恩恵を受けて生活を良くしているものの、この構造は経済的にとても不健康にさせていて、イギリス国民の幸福度も下がっています。そして治安の悪化につながります。
ロンドンを除いた地域のGDPの競争相手はこれからはイタリアやスペインとなり、このまま衰退が続くとスロベニアやポーランドといった国々とも対等になってくる可能性があります。
景観を損ねるビジネス
ロンドンのビッグベン前のウェストミンスター橋の上ではイタリアやスペインの広場で見られる3つのカップを逆さにして動かして、どのカップにコインが入っているか50ポンドをかけて当てるという賭け事が堂々と行われています。演技の下手なさくらがわざとらしく50ポンドを勝ち取って、観光客を呼び寄せています。ロンドン市内ではタイのトゥクトゥクのような三輪車が派手な色と大音量の音楽で何十台もミュージカルの出口で観光客を待っています。
高貴なロンドンもどんどん廃れているように感じます。
あなたならどこに住みますか?
優秀な人材は海外へ行き、そうでない人材がどんどんイギリスに流入してきています。医療、サービス、教育での発展が難しくなってきています。そんなイギリスはこれからどうなるのか。どこへ住めば幸せと感じることができるのでしょうか?
参考資料
今回の記事の参考になった映像を紹介します。
関連記事
いつもお読みいただいてありがとうございます。ブログ・ランキングに参加していますので、下のひつじちゃんをクリックして応援よろしくお願いします
下の猿ちゃんもクリックして応援よろしくお願いします
人気ブログランキング
アクセスランキング にほんブログ村
Share This Story, Choose Your Platform!
Category
‘ふわりいぎりす’は、イギリスにいる日本人ライターたちが気が付いたこと、発見したこと、知っていること、思ったこと、教えたいこと、気になることなど、ちょっとだけお伝えするウェブマガジンです。