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北アイルランドの事、どれだけ知っていますか?
こんにちはー
もうすぐ5月というのになぜにこんなに寒い!
恐怖のイギリス流バスツアーにて北アイルランドの世界遺産Giant’s Causewayへ行った時の素晴らしい天気が懐かしく感じる今日は
ちょっと真面目なお話を。
今日の記事には辛い歴史や宗教、政治的描写が含まれますので苦手な方は過去の楽しく笑える記事をお読み頂けると幸いです♪
ベルファストへ行く前に…
さて、我が家の夫とその血を引き継ぐ子供達はこの街とこれまでの歴史に深い関わりがあります。
イングランドで生まれ育った夫は長年北アイルランド、特にベルファストを訪れたいと思っていましたが踏み切れずにいました。
みなさんは「ベルファストに行くんだぁー」と聞いてどんな印象ですか?
私を含め日本人の友達→「ふぅーん。そこで何かする事あるの?」(よく分からないし知らーん。)
日本人以外の人達→「最近は治安も良くなって観光地も多いよ」「いろんな意味でとてもinterestingな街だ」「なぜにそんな危ない街に行くんだ!自分は行きたくない」(年配の方々に危険だという意見が多く見られる。)
出発の前日、夫が私たちを呼び言いました。
- イギリス、アイルランド国旗のついたものを着て行かないで。スポーツのユニフォーム、特にサッカーのセルティック、レンジャーズは絶対NG!
- 政治や宗教の話はしない事。
- 家族の事は言わない。特にどんな仕事をしているかも言わない。
- Family以外の人に名前を聞かれても言わない。苗字も言わない
えっ?!と笑ったつもりは無かったのですが「冗談ではなく命に関わるから真剣に聞いて欲しい」と怒られる…
私、北アイルランドの事を何も知らないし、同じイギリスなのに知ろうと思ったこともなかった…
みなさんは北アイルランドの事、どれだけ知っていますか?
この街の背景
アイルランド島の歴史は今日は置いとくとして、
ベルファストは1960年代後半からいわゆる北アイルランド紛争に突入していきます。
カトリック派とプロテスタント派のグループが反目し30年に渡り暴力が蔓延、多くの血が流れました。
1996年、Good Friday Agreement に基づき和平合意され紛争は終結。とネットで調べると出てきますが…
2019年、北アイルランドのデリーで起こった警察に対する暴動でBBCの女性記者が巻き込まれるという悲しい事件が起きています。
紛争は終わったのでは?
実際はどうなんでしょうか?
ベルファストの居住エリアを歩く
1996年以降、行政も観光に力を入れ始めたくさんの人がベルファストを訪れる様になりました。
実際にハイストリートや有名どころに行くと明らかに観光客の姿がたくさんみられます。
子供達「あの人セルティックのユニフォーム来てる!あの人はイングランドTシャツ。アイルランドの帽子かぶってる人おるよ。なんであかんの?」
確かに普通のイギリスの街と何も変わらないしアイルランド国旗をかがげるパブにアイリッシュお土産屋、ここはダブリンですか?と錯覚する景色も。
夫「場所と道によってどちらの地域かが大体決まってる」
喋りながら中心地から離れた居住エリアへと歩いていくと…
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目につくのは壁画の多いこと!ベルファストはアートで溢れているね。お洒落な街やん♩と言うと
夫「壁画をよく見るとたくさんのメッセージが隠されている。ここの人達は壁画で自分たちの思いを表現している」
例えばスヌーカーの写真、誰かご存知ですか?
北アイルランド出身のスヌーカー選手アレックス・ヒギンスです。彼はプロテスタント、で絵の上にサンディーロウって書いてるのは道路の名前。だからここはプロテスタントの人達が住んでるエリア。
と壁画から分かるそうです。
夫「明日、Peace Wall(平和の壁)とそれぞれの地域を見に行こう。子供達にルーツを教えなければいけない」
プロテスタント地区とカソリック地区を隔てる平和の壁、Peace Wall
翌日、夫の従兄弟のそのまた知り合いが平和の壁と両方の地区へ連れて行ってくれることになりました。
Peace Wallは今では観光地になっています。観光地でよく見かけるHop on hop off の赤いバスも停車するので個人的に見に行く事は可能。
しかし、両地域へ個人的に行く事は避けるべきと言われました。地域の人達は全住民の事を把握しているので知らない人が突然住宅地に現れると警戒体制に入るとのこと。
壁に行くまでの道中にも壁画をたくさん見ることができます。
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明らかにプロテスタント系、ユニオニスト地区です。
車の中で子供達にいろんな質問をする知り合いのおっちゃん。「名前は?」「どこに住んでるの?」
ダディーに言われた通り口を固めている子供達。あっさりと名前と居住地を言う夫。コラー!!
おっちゃん「お、イングランドから来たんだー。名前もイングリッシュだね。」この瞬間が1番怖かった。。。めっちゃ緊張しました。
この時からおっちゃんのとても熱い弾丸トークが始まりました。自分達の歴史、家族の事、地域の事、イギリス政府への思いなどなど。
そうこうしているうちに住宅地へ到着。
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ベルファスト最大のプロテスタント系、ユニオニスト地区Shankill Road です。
この地区では小さな広場のようなものが所々にあり、過去の紛争で起こった事や犠牲者を見ることが出来ます。もちろんこちらから目線です。
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こちらの展示があまりにもありのままでうちの10歳児がoverwhelmedと言って泣き出してしまいました。
でもこれが現実に起こった悲惨な歴史です。
次に平和の壁、Peace Wall へ
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両地区コミュニティーの武力衝突を最小限に抑えるためにこの壁が設置されました。高さは8m。この先にあるベルファスト警察署はもっと高い壁で覆われておりまるで刑務所のよう。それほどしないと燃えてしまうとの事。
「壁にサインして帰ったら?」と子供達に油性ペンを渡すおっちゃん。名前を書いた途端「おぉ!イングリッシュネーム!」とまたまた反応するおっちゃん。
怖い。。。
続いてカソリック系ナショナリスト地区へ。
隣接している地区ですが壁があるので大回りし、壁の先の門を抜けて入ります。ちなみにこの門は夕方5時に閉められます。
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こちらの壁画はなかなか過激でパレスチナを応援するものが目立ちます。
と、おっちゃんが
「バンクシーって知ってる?あれ、バンクシーの壁画!」
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夫「ほんまに?アクリルカバーとかせずに野ざらし?あぁー!ベルファストのバンクシーって事ね?真似して書いたってこと?」
おっちゃん「本物!本物!写真撮って、撮って!」
後日、検索しましたがこれが本物のバンクシーかはいまだ謎。。。
ベルファスト人のおっちゃんの思い
プロテスタント地区に2時間以上滞在し、カソリック地区は10分で車からもおっちゃんは降りず、いまだそういう事なんです。
普通では知る事の出来ない話を私たちにしてくれたおっちゃん。
別れ際、特に熱く語ったおっちゃんの思いはこうです。
「ベルファストから過激派は撲滅したと公に言っているがそれは正しくない。でも現在、活動の中心はもはや宗教でも政治でもなく違法なビジネス=お金であり多くの若者がその道へ巻き込まれている。」
「ベルファストに暮らす大多数の人々は分断は望んでいない。紛争も対立も暴力ももう十分だ。これ以上の犠牲はいらない。」
「自分の孫達は父親の職業を知らない。この街ではその職業が知れ渡ると家族にも危険が及ぶから言えないんだ。そんな馬鹿げた話があるか?私達はただただ子供達と平和に暮らしたいだけ」
「イギリス政府はベルファストの現状にもっと目を向けて力を注いで欲しい。ベルファストは置き去りにされていると感じる」
「どうかこの思いを日本の人にも伝えてください」
日本人として何が出来るか?深く考えた1日でした。
ベルファストの歴史に関するこんな映画もあります。
今回訪れた両地区へは地元のガイドさんが車で案内してくれるツアーもあります。Black Taxi Tour Belfast で検索してみてください。
今日もお付き合い頂きありがとうございました♩
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