第三次ロックダウン段階的緩和の概要をロックダウン史から振り返る
昨日イギリス第三次ロックダウン段階的緩和の概要がイギリス政府より発表されました。
2021年1月5日から続くイギリス第三次ロックダウンもすでに8周目に突入。第一次ロックダウンが10週間続いたので、第三次も同様に10週をめどに次のステップを繰り出してきました。政府は今後のロードマップ(行程表)を、国民に対して提示し、ロックダウン解除に向けて段階的措置を施す準備させています。
その内容をご紹介する前にまずイギリスロックダウンの歴史をおさらいしてみましょう。
2020年3月23日 第一次ロックダウン
1日のコロナ新規感染者数5000人超、コロナ関連死亡者数1000人超
基本、必要以外の外出を禁止。食品店、薬局、自動車修理屋、ガソリンスタンドといった生活必需品関連店以外の営業を停止。学校、スポーツジム、ゴルフ場等の施設、そして劇場、シアターといったエンターテイメント会場、美容室、床屋、パブ、レストランが閉鎖となりました。
この頃からよく耳にした言葉が「ステイホーム」でした。そして住まいの違う親族、友人、恋人との会合も禁止されました。
2020年6月1日 屋外ビジネス再開
小学校が再開しましたが、出席率は40−70%と学校によりまちまちで、コロナ感染を懸念する親は、引き続き子供たちにリモート学習を継続させました。
車販売、ゴルフ場、そのほか屋外ビジネス等が規制緩和され再開しました。しかし、店員の確保が困難、さらなるウィルス感染を懸念などで店舗閉鎖を継続する店も多くありました。店舗再開を待ち望んでいた人々が家具用品店イケアに長蛇の列を作っていたのが印象的でした。
2020年6月13日 サポートバブル制度開始
「サポートバブル」という言葉が使われ、バブル内であれば別の世帯に住む1人と会うことが許可されました。「サポートバブル」というのは、一人暮らしの人やシングルペアレントが孤独を感じないように、世帯が別でも他のコア家族と行き来ができる単位として設けられたコンセプトです。
そして2mソーシャルディスタンスというワードが本格的に浸透し出したのもこの頃です。
そして公共交通機関利用時のマスク着用義務が課せられました。
2020年6月17日 プレミアリーグ再開
イングランドのプロサッカーリーグのプレミアリーグが100日間の中断を経て再開しました。
2020年7月4日 各業種営業再開
パブ、レストラン、ホテル、美容室、スポーツジムの営業開始。屋内でのソーシャルディスタンスルールが徹底され、テーブル数の削減、マスクの着用義務などでウィルス対策が施されました。
他の1世帯の家族と室内の会合も解禁。
1日のコロナ新規感染者数1000人以下、コロナ関連死亡者数50人以下
旅行者の帰国の際に2週間の隔離規制も、一部の国を除いて緩和され、本格的な夏のホリデーシーズンとなりました。
2020年9月 学校通常カリキュラム再開
学校が再開されリモート学習はなくなりました。春のリモート学習時の学習能力の差が懸念され、カリキュラムが通常より遅く進行されるなどの、学校教育に問題が生じました。
2020年10月1日 ティア制度導入
ロックダウンへ向けて警戒度を示す3ティア制度が設けられ、それぞれの市を感染者の数で区別化して、地域ごとにティア1からティア3を実施。ティア3はパブの閉鎖などの最も厳しい規制として施された。
2020年11月5日 第二次イングランドロックダウン
1日のコロナ新規感染者数30,000人超、コロナ関連死亡者数600人超
イングランドでのロックダウンが再開。12月2日までの期間限定と公表された。ロックダウンの内容は第一次ロックダウン同様で基本自宅待機要請でした。
この時、学校は継続され子供たちは通常通り登校しました。
2020年12月2日 第二次ロックダウン解除
第二次ロックダウンが1ヶ月も経たずに解除されました。クリスマス商戦に向けて政府が解除しました。
1日のコロナ新規感染者数15,000人(減少)、コロナ関連死亡者数600人(横ばい)
2020年12月8日 ワクチン接種開始
イギリスで米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウィルスワクチンの接種が始まりました。1日40万人接種を目標に2月15日までに国民の4分の1である1500万人を目標としました。
2020年12月19日 予期せぬティア4出現
ケント州で猛威をふるう変異種コロナウィルスで致死率が上昇しているということでウィルス警戒度ティア4が発動されました。ティア4とは実質ロックダウンです。ティア1−3は認知されていましたが、ティア4とは初耳の人がほとんどで、予期せぬロックダウンで各関係者は驚きの様子を隠せませんでした。
ティア4によりクリスマスの外出は禁止、年一回の大イベント、親戚同士が集まるクリスマスディナーは中止。国民は各家族がそれぞれの家で近代歴史上最も静かなクリスマスを過ごしました。
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2021年1月5日 第三次ロックダウン開始
日々コロナ新規感染者数50,000人超(最高68,053人)、コロナ関連死亡者数1,300人超(最高1,820人)と過去最高の基準に達し、実質無期限の第三次ロックダウンに入りました。
学校はリモート学習が主流となり、医療従事者等のキーワーカーの家庭の児童のみ登校が可能となりました。
2021年2月15日 ワクチン接種順調に進む
イギリス第一段階ワクチン接種目標通り2月15日までに69日間で1500万人達成(人口比22%)。イスラエル、アラブ首長国連邦に次ぐ3番目の速さ。70歳以上完了。65歳以上と基礎疾患のある16歳から65歳730万人が次のターゲット。4月中旬までさらに50歳以上1730万人を目指します。
ワクチンの今後の予定
政府は4月中旬までに50歳以上全員、そして7月の終わりまでに18歳以上全員に新型コロナワクチン投与を目指すそうです。結果、5400万人、国民の80%の人口がワクチン接種を7月末までに完了することになる。
2021年2月22日 第三次ロックダウン緩和に向けての行程表発表
1日のコロナ新規感染者数12,000人程度、コロナ関連死亡者数500人程度
そして昨晩、いよいよ1月5日より続いているロックダウン緩和に向けての行程表が発表されました。
内容は以下の通り
2021年3月8日 学校全面再開
- 学校が再開になり児童はリモート学習からの切り替えとなり、実際に学校に登校しての学習となる。
- 他の家庭の1人と屋外での会合が許可される。
- 老人ホームの住人にはバブル内での1人の面会が許可される。
2021年3月29日 屋外活動開始
- 2家庭または6人までの会合が屋外で許可される。
- テニス、ゴルフなどの屋外スポーツ施設が再開。
- スポーツレッスンなどの活動を再開。
- 屋外であれば親戚、友人への訪問が解禁となる。
2021年4月12日 各業種店舗営業再開第一段階
- ヘアサロン、ネイルサロン、図書館、スポーツジム、動物園、テーマパークの再開。
- パブ、レストランは屋外のテーブルのみサービス提供。
- 国内ホリデーでのコテージ等の宿泊が1家族のみ可能。
2021年5月17日 各業種店舗営業再開第二段階
- 2家族での室内での会合が許可。
- ホテル、映画館、子供向け室内遊技場の再開。
- ウェンブリースタジアムで1万人まで、その他、コンサート会場など人数を制限して開催が可能。
- 海外旅行が可能。
2021年6月21日 ロックダウン完全解除
- ニューノーマルの生活の再開
- あらゆる制限が解除
- イベントでの人数制限が解除
まとめ
第一次ロックダウンは、開始から10週間で規制緩和が始まり、15週目の7月4日で完全に解除されています。今回の第三次ロックダウンの要因がイギリス型変異種コロナウィルスということで条件が同じではありませんが、ワクチン投与が急速に進むという好条件も重なっています。それにもかかわらず、第三次ロックダウン段階的解除の各業種営業再開第二段階の5月17日まで19週間を要しています。
これは第一次ロックダウン解除後のウィルス蔓延拡大が3ヶ月で急速に進んだ反省も含めて、今回のロックダウン解除は1ヶ月(4週間)遅らせるといった、政府が前回よりも慎重になったのかもしれません。
今回の2021年2月22日現在でわかるのはここまでですが、こちらはあくまでも予定で、もし新たなウィルスで、ワクチンが効かず感染がさらに拡大するようであればロックダウンの延期も考えられます。
2年連続でイースターホリデーが消滅させられたイギリス人たちはストレスの極限状態に達しています。
とにかく迅速なワクチン投与と感染防止を徹底、そして、感染者死亡者数を減らすことに国民みんなが協力し合い、ウィルスと戦っていくしかありません。
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