あれから2年・・・
こんにちは~。早いもので、私ふあにゃんが、ふわりイギリスで最初の記事を書いてから2年が経ちました!
私の初記事「謎の顔」は、音楽試験最大手ABRSMのピアノ試験の新しいシラバスの発表についてでした。(しかし、音楽については全く触れていませんでした。)
この表紙、覚えている人いるかな?
そんな初記事が2年前だったことに何故気が付いたかと言えば、そうです、また新しいシラバスが出たからなのです。
じゃーん!今回の表紙はこれ。
うん、前回よりマシになってる。
横顔の方がいいよね。姿勢も良い。
良かったな~。
以上。
・・・じゃなくて!
今回は、音楽のこと書いてみようと思います。ピアノの先生らしく?
ここからは、お子さんがピアノを習っている方に向けて書いていきます。そうでない方には、きっと何のことかさっぱり分からない話だと思いますので、ここでお別れした方が良いと思います。でも一番下まで飛んで、ひつじをクリックしてからお帰り頂けると嬉しいです。すみません、詐欺みたいなことして。
ABRSM 2021-2022 新シラバス
今回の2021‐2022年バージョンは、新しいことがたくさん加わったので、いつも以上にピアノの先生たちの注目を集めています。何が新しいのか、ちょっと整理してみましょう。
- スケール&アルペジオの負担が軽くなった
- 例えばグレード5なら、これまでは全24調のスケールとアルペジオを弾けるように準備しておかなければいけなかったのが、新シラバスでは半分の12調に減りました。このように他グレードも全体的に負担が軽くなっています。
- 課題曲のA/B/Cグループ分けが、時代別ではなくなった
- グループ分けは、曲想で分けられるようになりました。これからは近代曲だけとか、クラシックだけという選曲も出来るようになります。
- 課題曲が増えた
- 選択出来る課題曲が18曲から30曲に増え、更にグレード3以下にはデュエット曲も登場しました。しかし、1冊にまとまった課題曲集にはこれまで通り9曲しか入っていないので、ほとんどの人にとっては、あまり変わらないかもしれません。
- グレード1の前レベルにInitial Gradeというものが出来た
- グレード1の前レベルというと、既にPrep Testというものがありますが、これは合否がなく、やり方もグレード試験とは違うものでしたし、何より完全な「お子様向け」でした。
新しいイニシャル・グレードは他のグレードと同じ評価方法で合否が出るので、やりがいがあると思いますし、大人の初心者でグレード1まで行くのが難しい方の新しい目標になるでしょう。(Prep Test も無くなってはいません。)
- グレード1の前レベルというと、既にPrep Testというものがありますが、これは合否がなく、やり方もグレード試験とは違うものでしたし、何より完全な「お子様向け」でした。
いかがでしたか、簡単に要点を書いてみただけなので、詳しく知りたい方はABRSMのウェブサイトを読んでみて下さい。しかし、今あそこのサイトに行くと、いろんな情報が混在していて迷宮にハマる可能性があるのでご注意下さい。
近頃炎上中のABRSM
いやね、来年からのシラバスも大事ですけどね、それよりも今一番大事なことは、今年の試験がどうなっているのか?これなんですよ!
ロックダウンにより3月後半から4月に予定していた試験が全てキャンセルになりました。試験を翌日に控えて準備していた人もドタキャンに遭ったのです。6~7月に受験しようと計画していた人達も、夏に受けられるのかどうか分からなくなりました。この路頭に迷った学習者達をどう救済するのか、私たちは情報を待ち続けました。しかし、この救済策についてABRSMの対応はスマートではありませんでした。
オンライン受験
Performance Grades という名で登場したオンライン受験が8月から可能になると発表されたのは5月のことでした。
これは画期的な発表でした。演奏を撮影した動画をアップロードすることで受験できるようになるだけでなく、今までシラバスの中にあった、Scales & Arpeggios, Sight Reading, Aural Test が無くなったのです。その代わりに演奏する曲は3曲から4曲に増えました。(3曲は従来通り、課題曲リストからのA/B/Cグループから1曲ずつ選び、4曲目は同レベルであれば課題曲に限らず自由に選べる。) これは、ほとんどの学習者にとって「楽になった」と感じる喜ばしいニュースでした。
更に画期的なのは、Performance Gradesは今年だけの救済策ではなく、今後もずっと続けられるとのこと。そうなったら、スケールやサイト・リーディングが苦手な人(学習者の大半)は、もう従来方式での受験はしないんじゃないかと思いました。
しかし、その後7月になってもPerformance Gradesがいつ申し込めるのか詳細は発表されていません。しかも、「8月」と言っていた受験時期は、ウェブサイト上でしれっと「秋」にすり替わっていました。秋って9月なのか?11月なのか?
しかも、秋タームの受験は、例年通りに対面形式で11月から行われるとのこと。オンライン受験も秋だったら、ほぼ同時期で、春を逃した人達の救済は無くなったも同然です。
更に事態をややこしくさせているのは、Performance Gradesとは全く別物の、Adapted Exams というオンライン受験が存在することです。これはグレード6以上を受けるYear13の学生に限って、6月下旬~7月上旬に受験可能なものでした。
何故、Year13限定なのかと言うと、グレード6以上は大学受験の申し込みに有利になるUCASポイントが得られる資格なので、そのために受験するYear13の学生は秋まで待っていられないからです。ただし、このAdapted Exam の受験には、従来通り3曲+Scales & Arpeggios, Sight Reading, Aural Testが必要で、上記の4曲弾けばいいだけのPerformance Gradesとは準備方法が違ってきます。
しかも、最初はYear13限定と言っていたのに、8月からは年齢に関係なく誰でもAdapted Examが受けられるという発表が最近ありました。Year13以外で夏にPerformance Gradesを受けることを目指してきた学習者は、既に4曲目の練習をしているのですが、このままダラダラ秋まで待つか、それとも練習してきた4曲目を無駄にしてスケールの練習を再開し従来方式のAdapted Examに切替えて夏に受けるか、で悩むことになりました。
もう何が何だか分からなくなってきました。急激に変化に対応しなくてはならなくなった組織が大変なのは分かりますけど、もっとシンプルにならなかったものかなあと思います。
ABRSMのライバルであるTrinity College London のオンライン受験の申し込みは、既に出来るようになっていて、対応の違いが出てしまいました。
ABRSMの今回のシラバス改定も、人気を奪われつつあるTrinity College Londonをかなり意識しているように見えます。古き良き、信頼と実績のあるABRSM。私はまだ見捨てていないので、ぜひ頑張ってもらいたいです。
めちゃくちゃ堅い話でしたが、最後まで読んだくださった方、どうもありがとうございます。
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