乳房再建のお話 その1

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12月のとある午後。私は、Royal Marsden Hospital という英国屈指の癌専門病院に年に一度の定期検査を受けに来ていました。毎年この時期にあるマンモグラフィーとMRIの検査。待合室のちゃちいクリスマスツリーを見ると、あ~またこの時期が来たんだなあと初めてここに来た頃を懐かしく思い出します。

胸に見つけたシコリを精密検査してもらうために初めてこの病院を訪れたのは7年前の今頃。その年のクリスマスは癌かもしれない不安を抱えながら過ごしました。結局、年末に乳ガンを宣告され、年明けてすぐに手術で左胸を全摘出し、続いて抗がん剤治療と放射線治療を受けました。いろいろ大変でしたが、お蔭様で今はすっかり元気です。

(当時の闘病記録を詳しくお読みになりたい方はこちらへ)

在英日本人の中に、乳ガン経験者は多いように思います。海外生活におけるストレスのせいか、肉食中心の食生活のせいか?私の周りにも結構いるので、そこのアナタも決して他人事ではありません。でも、イギリスにいても、きちんとした治療を受けられますので、あんまり心配しないでくださいね。

そして現在の私は、失った左胸を取り戻しつつあります。癌を宣告されたときは、まずは命が助かるかどうかが先決で、それに比べれば胸がなくなることなんてどうでもよいように思え、癌を治すことだけに専念しました。でも、癌がとりあえず治ったように見え、生活に余裕が出てくると、やっぱり胸がないのが寂しく思えてきました。初めは思いもよらなかった、片胸が無いことを隠し続ける苦労と不便さも感じるようになりました。

そんなわけで前置きが長くなりましたが、現在私が取り組んでいる乳房再建について、これからこの場をお借りしてお話させていただこうと思います。

どんな選択肢がある?

イギリスの乳がん治療では、NHSが無料で乳房再建まで面倒をみてくれます。再建は癌摘出手術と同時に行うことも出来ますし、私のように摘出して数年たってから、やっぱり~と思い直して再建することも出来ます。方法としては、主に以下の二つ。日本もイギリスも同じです。

  • シリコンのインプラントを入れる
    美容整形の豊胸手術と同じです。一番手っ取り早い方法。ただし、乳房を全摘出した患者は胸部にインプラントを入れる隙間がないので、まずは周辺の皮膚を少しずつ伸ばすという手間がかかります。そして、シリコンは永久には使えないので、10年くらいで取り替える必要があります。
  • 自家組織を使う
    自分の体の肉をお腹か背中から皮膚や血管ごと切り取って、胸部に移植する手術です。手術は大掛かりにはなるものの、その後のメンテナンスは不要。

上記の二つの方法は最も一般的で、詳しい情報が英語でも日本語でもネットに溢れていますので、簡単に調べられます。(例えばこんなのとか。)私も事前にいろいろ調べました。

最初は、異物を体に入れることに抵抗があったので自家組織で、と思ったのですが、その手術方法に恐れをなし、また、体の健康な部分にメスを入れ新たな傷を作ることもどうかと思ったので、インプラントでお願いすることに決めました。ところが私の左胸は、放射線治療をした後遺症でインプラントは上手く定着しないだろう、と言われてしまいました。

再建は後からでも出来ると言われていたのに、今更シリコンは入れられないだなんて!と落ち込んだのもつかの間、担当の形成外科医は第三の方法を提示してくれました。それはまだ新しいメソッドで、ネット上でもほとんど情報がなかった方法でした。その方法とは・・・!?

次回に続く。

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About the Author: ふあにゃん

趣味でピアノを弾いていたら知人から教えてほしいと頼まれたのがきっかけで、いつのまにか職業になってました。東京都出身、在英20年超、ロンドンの南の端っこ在住、常に貧乏。好きなテレビ番組は「5時に夢中!」。

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