

ロンドン金融街・シティにある古代遺跡:ミトラエウム
みなさん、こんにちは。
Akiiikoです。
皆さんはロンドンのバンク駅とキャノンストリート駅の間にある古代遺跡を知っていますか?

その名も「ロンドン・ミトラエウム」。
ロンドンがかつでローマ帝国によって統治され、「ロンディニウム」という都市として栄えていた頃。
約西暦240年ごろに建てられたこの遺跡はなんと、古代ローマ人によって崇拝されたミトラ教という密儀宗教の神殿だったんです。
ミトラ教とは
簡単に説明すると、ミトラ教とは古代ローマ帝国で紀元前約1世紀から5世紀ごろまであった古代の宗教。
男性のみを信者とする密儀宗教でした。
信仰するのは太陽神ミトラス。

太陽神ミトラスは「ミトラ」または「ミスラ」ともいわれ、古代ペルシャ神話に登場する英雄神。
古くは契約・約束の神でしたが、時がたつにつれ、友愛・戦争・牧畜の神という性格を強め、イランやインドからギリシャ・ローマで信仰されてきました。
太陽神ミトラスは牡牛を打ち負かす姿(「牡牛を屠る神」)で描かれ、
太陽神であることから、周りには12星座も一緒に描かれることが多いのだそうです。
紀元前1700年頃、古代ペルシャの民族であるアーリア人によって太陽神ミトラスを祀った原始ミトラ教が起源となり、
西暦4世紀の間にはローマ帝国全体に広まりました。
ロンドン・ミトラエウム
この遺跡の入口は、バンク駅とキャノンストリート駅の間にあるBloomberg European HQの建物の一角にあります。
第二次世界大戦の爆撃によって、この周辺の地域のたくさんの建物などが破壊。
その後、新しくビルなどを建てる際に地下を掘っていたら遺跡が発掘されました。

はじめは古代キリスト教の神殿かと思われた遺跡が、太陽神ミトラスの彫刻などが発見されると、ここがミトラエウム(ミトラ教の神殿)であったことが発覚。考古学者を驚かせたことでしょう!
この遺跡の発掘された場所は元々数十メートル離れた所でしたが、ビル開発のために解体され、今の場所に再度組み立てられ、Bloomberg協賛の元、近年一般に公開されることになりました。
入場は無料
ウェブサイトで時間のスロットを予約することもできますが、
混んでいなければ予約なしでも入ることができます。詳細はこちらへ → London Mithraeum

地階のアートエキシビションを横に入口の奥に進んでいくと、遺跡から発掘された古代ローマ時代の様々なものが展示されています。
コインや壺などのかけら、装飾品の一部など。。。紀元前1世紀から2世紀のものばかり。

そしてその奥の階段を下っていくと、暗い部屋に行きつきます。そこにはそこがミトラ教の神殿であったことを示す彫刻のレプリカの展示が。
(実際の発掘物はロンドン博物館に展示されているのだそう)
時間になると係の人がさらに奥の部屋に通してくれます。
そこが、ミトラ教神殿。

5分ほど、当時の崇拝の様子を再現した音声を聞いたりして、まるでその場で儀式が行われているかのような雰囲気を体験することができます。
これだけの遺跡ではありますが、1800年という長い月日を経て私たちの目の前に現れたこの遺跡。
それもキリスト教の発展とともに衰退してしまった、このミトラ教という謎めいた宗教の神殿がロンドンに存在したのだ!
というだけで、なんか胸が躍りワクワクしますよね。
ぜひ訪れてみてください。
おまけ
ミトラ教とキリスト教との関係~クリスマスってミトラ教からきた!?
~そして日本の弥勒菩薩って太陽神ミトラスが起源!?
ここからはおまけ。
みなさんは12月25日って、キリストの誕生日だと思っていませんか?
実は聖書にそんな記載は一切ありません。実はこの12月25日は、もともと太陽神ミトラスの誕生を祝う日だったんです!
ではなぜ、太陽神ミトラスの誕生を祝う日が12月25日だったのか。
古代ペルシャ暦で冬至であり大晦日が12月24日で、その次の日からが新年であり、日もすこしずつ長くなることから、25日が「太陽の誕生日」だったのです。
話を戻すと、
紀元前4世紀前半まで、ミトラ教が流行っていたローマ帝国でしたが、その頃になるとキリスト教も勢力を増していました。
313年、ローマ皇帝のコンスタンティヌスがキリスト教を公認。
379年、皇帝テオドシウス一世の時代になると、さらにキリスト教が勢力を拡大。
392年、ローマ帝国でキリスト教が国教化されると、それ以外の宗教を排除する動きが出てきたために、ミトラ教も衰退していきました。
しかしミトラ教信者たちの反発もありました。
そこで当時教皇のユリウス一世が、12月25日の太陽神ミトラス生誕祭をイエスキリストの生誕祭にすり替え、ミトラ教徒もキリスト教徒も同じ日に祝えるようにすることで、反発を抑えることができたというのです。
また、イエスキリストは救世主、メシアといわれますが、これは一説にはミトラの古代ペルシア語の方言で、「ミシア」が「メシア」になったといわれるものがあるのだそうで。。。
ほかにもイエスキリストの12使徒は、太陽神ミトラスの周りに描かれる12星座がモデルになっている!?という説や、太陽神ミトラスの神話として「死者を蘇らせる」「難病を治す」「盲目の者の目をみえるように」「歩けなかった者を歩けるように」などがあるようで、それってイエスキリストに繋がるものがある。。。?! (信じるか信じないかはアナタ次第)
そして日本の弥勒菩薩も、じつは太陽神ミトラスがルーツなんです。
弥勒菩薩の「ミロク」は「ミトラス」「ミトラ」が語源といわれています。
太陽神ミトラスがインドを経て仏教に受け入れられ、そこから「ミトラス・ミトラ」が「ミイロ」となって「ミクロ」となり、弥勒菩薩となって弥勒信仰へと繋がっていったのです。
面白くないですか!?
そんな太陽神ミトラスを信仰していたミトラ教の神殿が、ロンドンにあったなんて、ロマンが広がりますね!

是非みなさんも訪れてみてください!
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