乳房再建のお話 その2
前回からの続きです。
インプラントは入れられないと言われ、ショックを受けた私に提示された第三の方法。それは、自分の体から脂肪を吸引して、胸に注入するというものでした。
皮膚や血管まで一緒に移植する方法と違って、自分の余ってる脂肪をチューブのようなもので吸い取って胸に注入する方法なので、体への負担はかなり少なくなります。おまけにお腹や太ももの余分な脂肪を取ってもらえるなんて、こんないい話があるんでしょうか!?それがあったんです。
従来この方法は、インプラントを入れた後の不自然な胸の形を補正するためなど、乳房再建の中では補助的な役割でしかありませんでした。脂肪注入だけで全摘した胸を再生することは不可能とされていたのです。しかし、技術の進歩と私の貧乳がそれを可能にしました。(残っている片乳が大きかったら無理でした。)
私は即答で、「それでお願いしますっ!」と伝えました。
しかし、これは完成までに長~い時間がかかるものでした。最初の脂肪注入をしたのが2015年の6月ですが、2018年の現在までに4回施術して、まだ完了していません。貧乳だから、1~2回でちょうど良いバランスの胸が出来るだろうと思っていたのに甘かったです。
何故そんなに時間がかかるのか?
- 一度に吸引&注入できる脂肪には限りがある。
皮膚も少しずつ伸ばしていかないといけないですしね。 - 注入した脂肪が全て生着するわけではない。
吸引した脂肪から生着率の高い脂肪細胞だけを取り除く技術が発達したお陰で生着率は随分良くなったと言われていますが、それでも全てが留まってくれるわけではないのです。放射線治療をしていることもあり、第1回目に注入した脂肪はほとんど生着しなかったように思います。 - 施術と施術の間が空く
最低6か月は間を空けないといけないことと、緊急性のない再建手術は常に後回しになるので、かなり待たされる。1年以上空いたことも。
生着率は回を重ねるごとに良くなっていて、現在は痩せた男性の胸くらいの脂肪がついています。そんな程度ですが胸にクッションが出来たのは良かったです。以前は心臓を守るものが何もないような感じでしたから。
ところで、乳がんで片胸(もしくは両胸)を全摘出をした後に再建をしなかった人は、ProsthesisとかBreast Formとか言われる、こんなシリコン製の外付けおっぱいのお世話になっています。
これを肌に直接つけてブラジャーをすると、おっぱいらしい膨らみが作れます。(昔の人はストッキングに綿を詰めたものを手作りしたりしていたそうです。)
これで十分じゃん、と最初は思っていたんですが、だんだん鬱陶しくなってきました。薄着の季節には、これが見えないように気を遣って洋服選びをしないといけなかったり、一番小さいサイズのBreast Formでも片方の貧乳より大きくて、バランス悪かったり、それに合わせたブラ選びも面倒だったり。これがズレたり落ちたりしないように常に気を遣っているのに疲れてしまいました。これを一生続けるのかと思ったら。。。
脂肪注入の4回目が終わってから、まだ大きさは不十分であるものの、このBreast Formを卒業しました。これは大きな違いです。ずいぶん楽になりました。
再建を決意した人の理由としてよく、温泉に入れるようになりたいから、というのを聞きますが、私はその辺全く気にせずに温泉に入ってました。恥ずかしいとかいう気持ちはなかったです。ただ、周りの人を驚かせては申し訳ないので、タオルで隠したりはしましたが。
私が再建する理由は、洋服・下着選びが面倒だったから。それと、自分の女性らしさを取り戻したいっていう気持ちもあったように思います。
今の状態を良しとして脂肪注入を終了してもいいのですが、あともう1回やったら、太った男性のおっぱいくらいにはなるんじゃないかと淡い期待を持って、現在5回目もお願いしています。でも、5回も続けることには少し悩みました。体への負担が少ないとは言え、やはりダメージはあるのです。
次回は、脂肪吸引の気になる点について書こうと思います。
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