Crisis ボランティア体験①
こんにちは!ふあにゃん、新年の初投稿です。今年もどうぞよろしくお願い致します。
年末に古市憲寿の新作「奈落」を読みました。決して万人受けする本ではないし、読んで幸せな気分にはなれませんが、人間の深層意識に迫るとても面白い作品でした。読書をあまりしない私でも読みやすい文体です。古市さん、今度こそ芥川賞もらえるんでは!?
さて、今日の記事は私の体験に基づく話ではなく、わが夫の体験談です。
イギリス人の夫は先月の選挙結果を受けて大変落胆しておりました。この国を救うのに政治家に頼ってはいられないと感じ、自らの手で何か出来ることがないか考えました。そして、このクリスマス休暇中にCrisisというチャリティ団体でボランティアの仕事をすることを決めました。そこでの体験を日本語でシェアさせて頂きたいと思います。以下、「私」というのは夫のことです。
Crisisとは
Crisisはホームレスを支援し、最終的にホームレスの撲滅を目指すチャリティ団体です。現在イギリス国内には16万人のホームレスがいるとされていて、このままでは今後10年間に更に76%増えると予測されています。
Crisisは毎年クリスマスの時期に、ホームレスの人たちが一時的に寝泊まり出来るクリスマス・センターを英国各所で提供しています。今年も英国各地で、クリスマス前後の一週間オープンしていました。
ボランティア初体験
クリスマス・イヴの午後、私はクロイドンのとある公立中学校の校舎にやって来ました。ここはクリスマスの1週間、Crisis が運営するホームレスのための宿泊施設となっていて、食事付きで安心して眠れる温かい場所が無料で提供されています。私はオンラインでボランティアの申し込みをし、今日からここで3日間働くことになりました。初回は3時から11時までのシフトです。
まずは簡単な説明会から始まりました。130人のボランティアが一堂に集まっていました。既にここでのボランティア経験がある人もいましたが、ほとんどは私のような未経験者でした。
ひとつの仕事は90分ほどで担当が入れ替わる、どの仕事も必ず二人一組になって行われる、ここではホームレスの人々を「ゲスト」と呼ぶ、等などを教えてもらいました。
幸か不幸か、一番最初の仕事がトイレ当番でした。トイレは思ったよりずっと綺麗だったので、掃除もそれほど大変ではありませんでした。あとは座って、トイレで利用者が飲酒したり禁煙したりしてないかを見張りました。
一緒にパートナーを組んだのは、同じく今日が初めての70歳の女性でした。彼女は元小学校の先生で二人の子供がそれぞれドイツとシンガポールで働いているそうです。彼女とは、政府がどうしてホームレスを見捨てているのかとか、いろんな話をしました。彼女とのおしゃべりが楽しかったので時間はあっという間に過ぎました。
次の仕事は、新しいゲストを迎えて各施設へ案内するレセプションでした。ここには寝室だけでなく、食堂、アドヴァイス窓口、ゲーム&アクティビティ・ルーム、浴室、トイレなどいろいろな施設があります。
一緒に仕事をしたパートナーは、27歳の国防相の公務員として働いている女性でした。彼女も今日が初めてでケントから車で1時間かけて来たそうです。
ここでの仕事中に、あるゲストと話すチャンスがありました。彼は、Crisisに助けられた元ホームレス。Crisisが彼に住む場所を見つけ、電気工事士になるトレーニングを受けるよう手配してくれたそうです。Crisisには感謝してもしきれない、ボランティア・スタッフも皆明るく元気で礼儀正しい、と喜んで話してくれました。
またあるゲストは、自転車を担ぎながら、「I love you volunteers! 僕が宝くじにあたったら、みんなに10万ポンドずつあげるからな!」と叫びながら私の前を通り過ぎて行きました。
休憩室で次の仕事までお茶を飲もうとしたところ、すぐに食堂の仕事に召集されてしまいました。食堂では、使い終わったトレイを綺麗に拭いてまた使えるようにすることが主な仕事でした。忙しい仕事でしたが、パートナーの男性と上手く分担し効率よく出来たと思います。彼はウェールズ出身の元教師で、おそらく60代後半と思いますがイタリアやフランスを自転車で廻って旅行するのが趣味だそうです。
休憩室で今度こそお茶を~と思ったら、またもや一口すすったところで次の仕事に召集されました。再びトイレでの見張りです。このときのパートナーもホームレス経験者の40歳の男性でした。彼は15年前にCrisisに助けられて住む場所を見つけ、それ以来毎年クリスマスのボランティアをしているそうです。3週間の路上暮らしは恐怖だったと語っていました。
このトイレ任務の最中に新しいゲストの若い女性がボランティア二人に連れられてやってきました。なんと彼女は妊娠8か月半だというのに住む場所がなく、小さなハンドバッグひとつが唯一の所有物でした。身重の女性がホームレスだという事実に、スタッフは皆ショックを受けていました。
こうして私の初めてのシフトは午後11時に終了しました。シフト・リーダーから受けた報告では、この日Crisisに保護されたホームレスは昼間のみの利用者も含めて223人、うち133人に寝床を提供することが出来たそうです。
Crisisの運営はとても素晴らしく、ゲストへの支援、ボランティアへの仕事の割り振りなど、全てがとても効率的に行われていました。ゲストは皆とても礼儀正しくて、ここで受けられる恩恵を本当に喜んでいました。
私個人の体験としては、とても楽しかったです。最初は緊張していましたが、終わった後は次のシフトがとても楽しみになりました。
以上で、夫の1日目の体験談を終わります。2日目以降の体験談もせっかく書いてくれたので、続きはまた明日!
今日はまじめな話になってしまってごめんなさいね~。でも、街中にあるCrisisのチャリティ・ショップってセンス良い古着がたくさん売ってると思いませんか?私も何らかの形で協力していきたいなと思いました。自分が住まわせてもらってる国に、住む場所のない人がたくさんいるなんて悲しいですからね。同じように思われた方、ひつじちゃんをクリックしてくださると嬉しいです♪
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