邪道なサワードウ

Japanese food Tazaki Yutaka Harvest Campaign

こんにちは。2週間の自己隔離を無事クリアし、もう誰に咎められることもなく自由に外に出られるようになった、ふあにゃんです。しかし、さすがに2週間一歩も外へ出ていないと体力が落ちますね。外出すると酷く疲れるようになりました。

さて今日のお題。サワードウ(Sourdough Bread)とは・・・天然酵母、もしくはそれで作るパンのことですが、このロックダウン中、ハマった人は多いのではないでしょうか?

ふわりでも、IKUKOさんミミコさんが、果物や野菜を使った酵母でパンを作っていましたね。

私は小麦粉と水だけで酵母を作る、最もシンプルなごくごくフツーのサワードウにチャレンジしていました。主人が以前によく作っていたことと、ロックダウン初期にイーストが手に入らず、たまたま強力粉だけあったから、というのが理由です。

あと、もちろん美味しいから。パンと言えば、絶対に日本のふわふわパンが一番!という人は同意してくれないかもしれませんが、私はあの素朴な味が好きです。

ネットやYouTubeには、サワードウのレシピがたくさん溢れています。まるで普通のイーストで作るパンのように、簡単にサワードウが出来るように書いてあるものが多いです。しかし、騙されてはいけません。

そう!まさしく私こそが、それに騙された被害者なのです。だから、声を大にして言いたい、サワードウは簡単じゃなーーーい!

サワードウを作る過程はごくごく単純なのですが、単純だからこそ、奥が深いというか、作業環境に大きく影響されるため、こうすれば必ず作れるという完全レシピは存在しません。

なので、今日はサワードウのレシピは紹介しません。どうしても知りたい人は、BBC Good Foodのレシピをご覧ください。とってもシンプルなレシピです。でも、何度も言いますが、この通りに作ってもサワードウは出来ません。

私は失敗を繰り返し、試行錯誤していく中で「邪道だけど、これでも出来るじゃん!」ということをいくつか発見しました。食に関してはこだわりが薄いせいかもしれませんが。。。

そんな邪道ポイントをちょっとまとめてみましたので、興味のある方は読んでみてください。もしあなたが今、サワードウ作りの壁にぶち当たっているのなら、そんなあなたを救えるかもしれませんよ!?少なくとも私は始める前に知っておきたかった!

スターターをごく少量で作る

サワードウ作りは、まずスターター(Starter)を作るところから始まります。(買ったり、他人から譲り受けたりすることも出来ますが)スターターとは、サワードウ作りにかかせない発酵種のことです。

スターターは、毎日新しい水と新しい小麦粉を加えること(Feeding=餌やり)を1週間くらい繰り返して完成させます。その間、小麦粉をどんどん足していくだけだと、スターターは増え過ぎてしまうので、餌やりの前に前日分の半分は破棄します。

つまり、スターター完成までに多くの小麦粉を廃棄することになるのです。一般的なレシピの通り小麦粉100gから始めていたら、貴重な小麦粉がパンが一個も焼けないうちになくなりました!涙

ちなみに、廃棄分のスターターでパンケーキを作るという話は非現実的です。そのパンケーキのレシピを見ると、また新たに大量の小麦粉を加えてるし、だいたい毎日パンケーキばかり食べているわけにはいきません!

私は、スターターに小麦粉を加えずフライパンで焼いて、韓国チヂミ風を作ってみたら、酸っぱいですが結構食べれました。でも、それだって毎日は食べれません!

貴重な小麦粉は、なるべく無駄に使いたくないのです。

そこで試しに、小麦粉10gと水10gで始めてみたところ、少量でもちゃんと発酵しました。餌やりでは、既存のスターター:小麦粉:水を1:1:1の割合で混ぜますので、前日からのを10gだけ残して後は廃棄し(すぐには捨てずにバックアップ用に冷蔵庫で数日保管します)新しい小麦粉10gと水10gを足すのを完成まで繰り返します。

スターターが熟成して、パン作りに使えるようになったら、毎日の餌やりを止めて、そのまま1週間くらいは冷蔵庫で保管出来ます。それをパンを作るときに取り出して、常温で新たな餌やりをしてパン作りのレシピに必要な分量まで増やします。そこから最低10gは次回分に取って冷蔵庫で保管します。

そもそも、パン作りの際に必要なスターターの分量にも、いろいろレシピがあって、ちゃんと熟成しているスターターなら、大匙1杯くらいでも十分という話も聞いたことがあります。(私は試したことありません)

これで、私は小麦粉の廃棄を極力減らしたスターター熟成に成功し、その後全く廃棄分を出さずにパンを作っています。

左の小瓶に入っているのが、いつも冷蔵庫に保管している30gのスターター

スターターさえ完成していれば後はどうにでもなる

未完のスターターでパンを作ろうとしても全く発酵せず、パン作りは失敗に終わります。しかし、スターターが完成していれば、あとはどうにでもなります!ここからはどんなに失敗しても、両手がドウまみれになって最悪~な事態になったとしても、最終的に食べられる程度のパンは焼けます。失敗を気にせず前進あるのみ!

では、スターターはどうやって完成させるか?

餌やりを1週間続けるだけで自然とスターターが完成するなんて、無責任なことを言っているレシピがありますが、ウソです。これには、室温や小麦粉の性質など、様々な要因が絡み合い、更には運によって決まると言っても過言ではありません。発酵が進まないうちに腐ってしまったなんていう話はザラにあります。だからこそ、スターター作りは少量の小麦粉で始めるのがGOOD!

スターターが完成したかどうかを見極めるのは、水に浮くかどうかテストしてみることです。どんなに泡がぶくぶくしてきて良さげに見えていても、水に浮かなければだめです。

ただし、全粒粉で作るスターターは水に浮きにくいそうです。全粒粉の方が発酵が進むので、私は最初に全粒粉で作り、そろそろかなと思ったら白い強力粉に変えます。いつまで続けても水に浮かなかったスターターが、白い強力粉に替えたら一発で浮きました。

こんな大事な、サワードウ作りの最初のステップを丁寧に解説してくれるレシピはほとんどありません。ここで挫折する人が多いのもうなずけます。

最初は小さいパンから

何度も言うようですが、ロックダウン中は小麦粉が貴重でした。しかし、どのレシピも小麦粉をふんだんに使ったレシピばかり!でも、初心者はまず失敗するんです。だからまずは小さいサイズのパンで練習してみたいのです。材料の比率さえ守れば美味しいパンは焼けます。

参考までに私の良く作る分量は以下の通りです。
・White Bread Flour 200g
・Wholemeal Flour 30g
・Water 160g
・Starter 60g
・Salt 4.5g

ドウはこねない

これは一般的に知られていることです。捏ねずに時間をかけて、ときどき生地を伸ばしてあげるだけで十分発酵してグルテンも生成されます。私はこの過程がサワードウ作りの中で一番好きです。

ボウルの中で伸ばすだけ

成形はしなくていい

1次発酵が終わると次は成形です。美味しいサワードウは水分量がかなり多いです。つまりドウが柔らかい。この柔らかいドウを綺麗に成形することは素人にはまず無理です。

でも、成形ってそんなに大事なんでしょうか?そりゃあ見た目の良いパンが出来上がった方が良いですが、見た目は関係ないと思えば、とにかくひとつの塊になっていれば良いので、この成形は無視してもパンは焼けます。

通常、サワードウは成形したあとバヌトンという籠に入れて2次発酵させ、オーブンに入れるときに、これをまたひっくり返すのですが、ひっくり返すときに失敗することが多々あります。なので、私はひっくり返すという作業を無くしました。

1次発酵(1.5倍~2倍くらいに膨らんで、ひっぱると長く伸びるようになる)が終わったら、なんとなく丸めてケーキ型のような耐熱容器に移し、そこで2次発酵させて、そのままオーブンに入れてしまっても、ちゃんとパンは焼けます。

バヌトンやダッチ・オーブンはなくてもいい

バヌトン(Banneton/Proofing Basket)は、2次発酵中に美しい形を作りながらドウを休ませる籠です。これがあると綺麗な縞模様のサワードウが焼けるのですが、なくても大丈夫。いろんなもので代用出来るし、上記の通り成形過程を無視すれば、そもそも必要ありません。

ダッチ・オーブン(Ducth Oven)って何だ?て私も最初は思いました。鉄製の蓋つき 鍋みたいなもので、これを使ってサワードウ・ブレッドを焼くと上手に焼けます。

しかし、そんな得体の知れないモノ(しかも重くてかさばる)を、出来るかどうかも怪しいパン作りのためにわざわざ買えます!?私には買えません。

しかし、ドウをピザみたいに石の板の上に直接乗せて焼く方法は素人には難しいので、やはり何か形あるものの中に入れて焼く方がいいです。ただそれは、ダッチオーブンでなくても、ル・クルーゼでもカセロール鍋でも何でもいいのです。大事なのは、最初の10~25分間に蓋をして焼くことです。(乾燥を防ぐため)何でもいいけれど、何か蓋が出来るものを探してみましょう。


以上です。日々クオリティの高いサワードウ作りを目指している方々には許せないことばかりだったと思いますが、どうかお許し下さい。

とにかく、誰にでも出来るレシピは存在しないということを知っているだけでも、失敗したときの挫折感が少なくなるかな~と思います。

完璧なサワードウでなくても、その辺で売っているパンよりはずっと美味しいものが焼きあがります。世の中、完璧でなくてもいいことがたくさんあるってことだよな~♪

<参考>試行錯誤中に読んでいたサイト
Sourdough Starter Master Plan
Simple Sourdough Starter
Sourdough Bread Formula


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About the Author: ふあにゃん

趣味でピアノを弾いていたら知人から教えてほしいと頼まれたのがきっかけで、いつのまにか職業になってました。東京都出身、在英20年超、ロンドンの南の端っこ在住、常に貧乏。好きなテレビ番組は「5時に夢中!」。

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4 Comments

  1. Mie 20th August 2020 at 7:10 pm - Reply

    ふぁにゃんさんのすべてに同感です!というより、読んでて自分が書いたのか?と錯覚するほどに全く同じ経験をしました。サワドゥを作る者として、誰にも言えなかった小さな不満を(大げさな…)代弁していただき、ありがとうございます!

    ちなみに、私はディスカードにオートミール、オリーブオイル、ハーブ等を加えてクラッカーにしました。

    • ふあにゃん 21st August 2020 at 8:48 am - Reply

      MIEさん、コメントありがとうございます~!
      そうなんですね!同類でした??
      意外と周りにも、私のこの記事を読んで、「私も邪道でやってるよ~」という意見が多くありました。
      世に溢れる完璧なインスタ映えするパンを見てると、大きな声では言いにくいですが、みんな隠れてやっていたってことですね~。
      廃棄分でクラッカーっていいですね。クラッカーなら保存も出来るし。

  2. Keiko Yagihara 1st June 2021 at 3:43 pm - Reply

    あなたの記事に救われました!! ありがとう。 今2次発酵中のドウが冷蔵庫の中にいます。 明日はいよいよオーブンに。 今回はラッキーにもスタータが完成した(水に浮いたので)と思われるので。。。。失敗続きの中で一筋の光が見えてきた気がします。
    勝手ながらFaceBookでシェアさせていただきました。

    • ふあにゃん 1st June 2021 at 4:18 pm - Reply

      わ~そんなこと言って頂けて嬉しいです!おまけにFBシェアまでありがとうございます!しかし現在の私は、時間がなくなったのでサワードウを作るのを辞めてしまいました。でも、Keikoさんにコメント頂いたので久しぶりに自分の記事を読み返して、また作ってみてもいいな~という気持ちになりました。ありがとうございます!

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