イギリスでピアノ発表会
こんにちは。先日、またもや転倒してしまったふあにゃんです。しかも今回は学校で、目撃者も多数。とても恥ずかしかったです。すでに今年で2回目。何なんでしょう、年のせいでしょうか?子供が転ぶのと違って、大人の転倒は打撃が大きいのです。この先が思いやられます。
そんな事件の2日後でまだ体の痛みの残る中、私のピアノの生徒たちの発表会がありました。私事で恐縮ですが、私の楽しい思い出をここでシェアさせて下さいね。
場所は近所の教会です。イギリスには、日本のように子供の発表会に丁度良い規模のコンサート・ホールがあまりないので、小さな演奏会などは教会で行われるケースがほとんどです。教会はたくさんあれど、まともなグランド・ピアノを置いている教会は少ないので、そんな教会が近所に見つかった私は本当にラッキーでした。
生徒さんが少なかった頃は、自宅で発表会をしていましたが、やはり大きな会場で本格的にやると満足度が違います。
本番の1時間半前からリハーサルがスタート。グランド・ピアノなんて触るどころか見たこともない子供たちがほとんどですので(イギリスの公立小学校にグランド・ピアノはありません。)リハーサルは絶対に必要。早く到着した子から順にピアノを触らせます。
例年のごとく、会場に到着したとたんに怖気づいてしまう子が、今年も約3名おりました。ただのリハーサルだよと言っても、怖がって弾こうとしません。私と親が必死に説得しても、絶対に嫌と言い張ります。もしくは、ピアノの前に座ったはいいけど、そこから固まってしまって全く弾けない子もいます。普段が自信満々で元気な子に限って、本番に弱いのよね~。それでも何とか説得と時間をかけ、全員がリハーサルを終えて、予定時間通りに本番スタートすることが出来ました。
みんな上手に弾いてくれました。 みんな輝いていました! 意外と心配していた子ほど堂々と弾いてくれました。ひとりひとりのこれまでの苦労を知っている先生としては大感激です!
最近、私のところに天才少年が現れたのです。既に13歳ながら、今まできちんとレッスンを受けたことがなく、独学で弾いていたという少年。初めてうちに来てピアノを弾かせたときは、まるでBritain’s Got Talentを生で見ているようでした。彼の演奏は、予想通りみんなの注目を集めていました。女の子たちは既に彼のファンになったんじゃないかな?
私も最後に演奏しました。正直、先生の演奏と言えるレベルかどうかは怪しいですけど。でも、子供たちに少しでも、ピアノ演奏は本来こういうこものだということを知ってもらいたくて、一般に良く知られている短い曲を毎年演奏することにしています。
子供が多いので、退屈して暴れ出したりする子が出るのを心配していましたが、休憩をちょくちょく挟んでいたせいか、そういう問題は全くなく、4部構成のプログラムは無事終了しました。ほっ。
実はちょっと心配していたのが、子供というより、むしろ親たちのコンサート・マナー。この国では大人だってお行儀良いとは限らないのです。
発表会の2日前にメールしてきて、「うちの子、3時半には帰らないといけないんで、一番最初に弾かせてもらえませんか?」って頼んでくる親がいるくらいです。3時半開始なのに、3時半に帰るってふざけんな!ってことですよ。このお願いはあまりに酷いので無理ですとお断りしました。余程の事情があるなら、何か反論してくるだろうと思っていたら、一言「OK, thanks.」ですって。一体何の理由で開始時間に帰ろうとしていたのか。。。
そんな感じなので、「演奏中はおしゃべり&飲み食い厳禁です!自分の子だけじゃなく他の子の演奏もきちんと聴きましょう!演奏者へのリスペクトをお願いね!」と事前に口酸っぱくお願いしてありました。それが功を奏したのか否か、みなさん最初から最後まで、まあまあお行儀良く聴いてくれてました。
演奏が終わったら、全員集合写真を撮って。。。
おやつ&歓談タイム!
この写真は開始前のまだ静かな光景。おやつタイム開始と同時に、大人も子供も食べ物に群がっていました。夕方5時頃だったので、ちょうどお腹の空く時間だったかな?このおやつは、参加者さんたちからの持ち寄りで、手作りケーキは速攻で消えてました。ここでは日本人ママたちが大活躍!何も言わなくても、テキパキとお手伝いしてくれます。やっぱり頼りになる~!
そして意外なのが、この歓談タイムに、子供たちがやたらピアノを弾きたがること。本番が終わったので、みんなリラックスして弾き合いしています。
そう、やっぱり楽器演奏は、聴いてくれる人がいてこそ、楽しみも喜びもあるものなのよ!(いや、ひとりで悦に入って演奏するのも悪くはないけどね。。。)
今年は人数も増えて、年齢層も幅広くなったので、とても充実した発表会になりました。親御さんたちからも喜んでもらえて、頑張った甲斐がありました!
そんな楽しいピアノの発表会。日本では生徒がある程度の人数いるピアノ教室だったら、開催するのが当たり前ですが、ここイギリスではあまり聞きません。
理由を考えてみると、そもそもそういう発想がない、発表会を企画・準備する労力を惜しみたくない、生徒の親からも発表会のリクエストがない、むしろそんなの面倒だと思う親がほとんど、生徒が人前で演奏したがらない、等などが上がると思います。
私の発表会でも例年、参加者は全生徒のうちの6割くらいです。(私の子供の頃は全員必須でしたが、今どきは日本でもどうなのかな?)参加しない4割の中には、やむを得ない事情で参加出来ない人も含まれますが、ちょっと面倒くさいくらいに思っている人も多いと感じます。
だからこの国には、 楽器を習っていてグレード試験は受けるけれど、演奏会で弾いた経験は全くないという子供が多いのです。
ここでちょっと言わせてください。グレード試験は、試験官と二人だけの密室で演奏し、その演奏に点数がつけられます。もちろん、良い結果が出れば嬉しいだろうし、私だってよく頑張ったねと生徒を褒めます。でも、試験で演奏したことが良い思い出になりますか?むしろ嫌な思い出じゃないですか?試験のためだけにピアノを弾いていて楽しいですか?楽しくないのに楽器を演奏する意味って何でしょう?
何歳でグレードいくつだから凄い?高得点のDistinctionを取ったから凄い?そんな理由で褒められて喜んだとしても、そんなこと1か月もすれば忘れてしまうんですよ。
ってなことを、グレード重視で発表会を軽視している親たちに、本当は声を大にして言いたい!・・・のですが、小心者の私はなかなか言えません。とにかくグレード、少しでも早く上のグレード、受かればその後はどうなってもお構いなし。別に音楽に興味はないけど、進学に有利だから楽器のグレードは取っておきたい。そんな親が驚くほど多いのです。
子供の頃、同じ先生にピアノを習っていた友達は、とにかく発表会が大嫌いで、それがなければピアノを習うことは苦痛じゃないのにと嘆いていました。人前で演奏することが極端に苦手な人がいるのも分かります。皆がみんな、発表会バンザイでないことは分かっています。
でも私自身は、子供の頃にピアノの発表会を凄く楽しみにしていて、ほとんどそのために習っていたと言ってくらい大好きでした。
私にとってピアノの発表会は、年に一度の大イベントで、特別な一日でした。舞台の袖で出番を待つときの緊張感、スポットライトが当たったグランドピアノがキラキラして綺麗だったこと、演奏が終わった後の達成感、年上のお姉さまたちの上手な演奏、聴きに来てくれた友達からもらった花束、待ち時間にお友達と会場の外で遊んだこと、すべてが私の体にしみ込んだ良い思い出です。今でも、当時の発表会会場だったホールへ続く新宿西口地下道を歩くと、きゅーんとしてしまいます。
私がこんな年になっても、趣味でピアノを弾くことをやめられないのは、そういう子供時代の体験が大きいと思います。練習が苦しくても、上手く弾けなくて落ち込んでも、私がピアノを上手く弾こうが下手くそに弾こうが誰も関心ないと分かっていても、続けてしまう理由がそこにあるような気がします。
だから、自分の教えている生徒にも、そういう体験をしてもらいたいのです。全員が参加しなくても、楽しんでくれる親御さんや、嬉しそうな顔の子供たちが少しでもいる限り、私はこの先も続けるだろうと思います。
今年の発表会は人数が増えたので、初めてプログラムが3つ折りになりました。これは、私が子供の頃の発表会のプログラムと同じスタイルです。
恩師に少し近づけたかな?
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発表会、成功おめでとうございます。成績(履歴書)アップのための習い事!アメリカの子どもの放課後活動もまさにそうです。本当に楽しいからやってる子どもはどれくらいいるんだろう、と思います。先生の伝えたいこと、きっと伝わっていますよ。
お~、あんにょんさん!読んでくれてたんだね、ありがとう~!アメリカもそうか~、やっぱりアジア系にその傾向は強い?きっかけは成績アップのために始めたものでも、そこから楽しみを見つけてくれたら嬉しいよね。そうでないと、レッスンはただただ辛い修行になる。。。