中学受験 イレブンプラス〜イギリスセカンダリー(中学、高校)事情〜
先週のふわりいぎりすライターのたぬきの記事を読んで、まさしく、我が家がその受験の真っ只中で、質問に答えられるぞと思い、本日は、イギリスセカンダリーの受験の準備に関して、親からの目線で説明させていただきたいと思います。最後にスクールランキングなどの学校選びに役立つリンク、そして、毎週恒例のコロナ関連気になるニュースの紹介もありますので最後までぜひご覧ください。
セカンダリー入学に関する意見は、あくまでも私の独断の経験上での話になるので、ご了承ください。違った意見の方はぜひコメントいただければ、それも記事に載せさせていただきます。
そして、今回はプライベートスクール(年間費用1万−4万ポンド程度)の学校は含まずに記事を進めさせていただきます。ご了承ください。
幼少期
小学、中学校選び
教育の始まりは、まずは、どこのエリアに住んで、評判の良いプライマリースクール(4歳から11歳)の近くに住むことから子供の教育が始まります。さらにセカンダリースクール(11−12歳から5ー7年間通う)も、評判の良い公立のセカンダリーを選んで、キャッチメント内(その学校が基準としている範囲内)に住居があれば、子供の義務教育は16歳まで保証されます。
評判の良いセカンダリーが見つからない!
親御さんにとっては、子供には、ぜひ評判の良い学校にいって欲しいと、キャッチメント内に入るために引越しの場所を考えます。しかし、そうは言っても大人の事情で簡単に引越しできない人もいます。そうなると、選択の範囲が狭くなり、地元の評判のよくないセカンダリーに入学せざるを得なくなります。そこで親御さんにとって希望の光となるのが、11+(イレブンプラス)試験です(のちに説明します)。
セカンダリースクールの種類
セカンダリーにも大きく分けて3種類あります。
- ステートスクール (Comprehensive School)
- グラマースクール (Grammar Schoool)
- プライベートスクール (Independent School)
ステートスクールは簡単に言うと地元の学校です。先ほど説明したようにキャッチメント内であれば、試験なしで入れます。
グラマースクールはSelective Schoolとも言われ、全国で230校ほどあり、政府公認、学費無料の学校です。イレブンプラス試験の結果で競争相手より良い成績に達成した生徒だけが入学できます。グラマースクールの利点は、イレブンプラスという難しい試験をパスしてきた生徒が集まった学校なので、学校全体として学習に対する士気が高い。ただし、それだけで安心して頑張らないと、入学してから苦労する子も多くいます。
プライベートスクールは入学試験と学費が必要になります。しかも年間1万から4万ポンド(150−500万円)の学費とピンキリです。全国の学業成績平均を見るとプライベートの生徒はコンプリヘンシブ、グラマーの生徒に比べて若干優秀ですが、個人個人ではプライベートより優秀な生徒は、コンプリヘンシブにも、グラマーにも多くいます。
少年少女期
イレブンプラス試験
イレブンプラス試験とはグラマースクール入学試験になります。「あれ?義務教育だから試験受けなくていいじゃない?」って思われるでしょうが、「地元のコンプリヘンシブセカンダリースクールがあまり評判がよくない、だから、ちょっと遠くても良い、グラマースクールにいかせたい!試験を合格して、似た学習能力のある子供たちと一緒に学習させたい!」そう思う親御さんは、イレブンプラス試験に向けて準備を始めます。
イレブンプラス試験の内容は地域、または学校によって違くなります。基本は英語、算数、IQテストとなりますが、作文を用いてるところもあります。我々はイギリス南部に住んでいるので、そこの地域を例にすると、Bexley, Kent, Surryといった日本でいう郡とでもいうのでしょうか、そこで共通試験が1日行われます。時期はYear6 (10−11歳)の9月(今年はコロナで延期、10−11月にずれ込みました)。それと学校独自のテストを行うところもあります。イギリス南部の有名どころだとSt. Olave’s Grammar School, Newstead Wood School, Wilson’s School, Nonsuch High School for Girlsなどは学校独自の試験方式になります。
Year5 (9−10歳)の春ぐらいから受験の受付が始まると思いますが、申込の締め切りもそれぞれの学校で違うので確認されて、早めに申し込んだ方がよろしいです。
グラマースクールに合わせて事前に引越し
また引越しの話ですが、プライマリーに続いて、セカンダリーに合わせて引越しをする人もいます。これはなぜかというと、グラマースクールにキャッチメントエリア方式を用いるグラマースクールもあり、学校に近い生徒を優先させてあげようと、キャッチメントエリアに住まいの生徒に人数枠を多く設定、または、学校に近い生徒しか取らないというグラマースクールもあります。例えば100点満点中、キャッチメント内に住んでいる子であれば、枠が大きいので80点取れば入学できても、キャッチメント外、遠くからくる生徒は、枠が小さくなる分、90点取らないと入れないよといった風に差別化するのです。それによって地元住民からの反発を避け、学校と地域がうまくやってるようにするのです。
うちの子供は80点ならなんとかがんばれそうだ!と思う親は、引越ししてお気に入りのグラマースクールの近くに住もうとなるのです。いつまでに引越したら良いかは、学校側からの規程がそれぞれあるようですが、時期は入学年の前の年の12月ぐらい(各学校で違うかもしれないので、そこはお調べください)までに引っ越す必要があります。
いつからイレブンプラス試験の準備を始めるの?
絶対というのは、子供の能力にもよりますので、ありませんが、いつから子供にイレブンプラス試験の準備を始めさせるかというと、1年前だったり、2−3年前だったりと、人それぞれです。その頃から、家庭教師(チューター)をつけます。家庭教師選びはその前から始まるので、2年ぐらい前から情報を集め、優秀なチューターを探すのをおすすめします。人気のあるチューターは2年前からすでに予約でいっぱいだったりします。決戦の日はYear6が始まる9月なので、それに向けて照準を合わせていただけれたらと思います。
イレブンプラス試験でいい成績を取る方法
伝統的なイレブンプラス試験なので、正直、問題は毎年極端に変わるわけではありません。だから、テクニックをつかめば結構いい点数が取れます。テクニックをつかむには量をこなせば身に付けることができます。
量をやるということは長い間やれば上達します。よって、2−3年勉強する子がいるわけです。巷では6−7歳から参考書が売っています。しかし、参考までに、これは経験のあるチューターに聞きましたが、1年でマスターできないのであれば、グラマースクールに入っても競争相手についていけず脱落する可能性が高いとのことです。
ちなみに我が家は家庭教師をつけて1年しか勉強しませんでした。まだ結果は出ていませんが、模擬試験などを通じて着々と伸びていく様子が伺えました。この能力で入れる学校が見つかれば嬉しいです。結果はどうであれよくがんばったと褒めてあげたいです。
イレブンプラス試験結果をみて希望校を決める
9月に受けた試験の結果が年末に向けて発表されます。そこで6校に志望校を絞ります。先ほどのイギリス南部の学校の例をあげると……
- 第一志望 Newstead Wood (学校独自試験、1次のみ)
- 第二志望 Nonsuch High School for Girls (学校独自試験、2次試験まで)
- 第三志望 Tunbridge Wells Girls’ Grammar School (ケント共通試験)
- 第四志望 Townley Grammar School (ベクスリー共通試験)
- 第五志望 Bexley Grammar School (ベクスリー共通試験)
- 第六志望 Dartford Grammar School for Girls (ケント共通試験)
と言ったように、この場合だと、ケント共通1回、ベクスリー共通1回、学校独自テスト3回と、テストを5回受けることになります。第一と二の独自試験を行うところは上位100数名が合格します。第三志望以下の学校は郡の共通試験の結果の点数がメール等で連絡があります。その自分の持ち点と去年の入学生徒の持ち点を比べて志望校を決めます。例えばお子さんが100点中90点だったとして、第三志望のTunbridge Wellsの去年の入学生徒の最低点数が80点(Cut Off Scoreとも呼びます)だとすると、かなりの高い確率で入学が認められます。あとはカウンシルからの連絡を待つのみとなります。こちらが年明けて3月上旬ごろとなります。
イレブンプラス試験逃したー!!!!
イギリスの学校の制度がよくわかんないよ。このブログ見たの遅かった!!!という人、まだチャンスはあります。トゥエルブプラス(12+)、サーティーンプラス(13+)というのがあるのです。これはグラマースクール途中入学で、Year7(11ー12歳)、Year8(12−13歳)の時に、イレブンプラスを逃した、もしくは受からなかった子が、グラマースクールへの編入学を目指して試験を受けられます。それぞれの学校で試験は異なるようなので、詳細は各学校にお問い合わせください。イレブンプラスを逃してもまだチャンスはあるのでこちらもぜひお考えください。
まとめ
イレブンプラス試験
試験:グラマースクールに向けた共通テスト
試験期間:プライマリースクールYear6(10歳−11歳)が始まる9月から1ヶ月程度
勉強開始時期:1年前で充分だが、2−3年必要とする子もいる。6歳から参考書もある。
勉強のコツ:テクニックが必要なので、量をこなせば良い成績が取れる。参考書で独学、または家庭教師、塾を利用。
キャッチメントエリアへの引越し:希望校のキャッチメントエリア方式を利用して、評価で優位にたつため、引越しをする人もいる。(キャッチメントエリア方式を該当させないグラマースクールもある)
志望校選択:試験結果の自分の点数と過去のCut Off Scoreを参考に志望校を6校に絞る
結果発表:Year 6後半の春、3月ごろカウンシルから発表を受ける。
イレブンプラスを逃しても:トゥエルブプラス(12+)、サーティーンプラス(13+)(途中編入制度)があるのでそちらを目指す
以上のようにしてグラマースクールへの道が開けてきます。
気をつけるべきこと
準備は1年以上と長丁場になり、家庭内でもかなりの葛藤があり、ストレスも絶頂に達することもあります。グラマー試験に失敗して鬱になる生徒もいるようです。そして、無事入学しても、イレブンプラス試験をパスするだけの勉強を2年も3年もやってきたため、入学してからも授業についていけず、結局大学を諦めてしまう生徒もいるようです。最後は本人の人生です。親御さんの願う気持ちはわかりますが、程々に子供に対応してあげないと彼ら彼女らの人生を一生ダメにしてしまうかもしれませんので、その辺はバランスの取れた生活をおすすめします。そして、最後は常にお父さん、お母さんが一緒にいてあげてメンタルのサポートをしてあげることです。
学校情報リンク紹介
最後にグラマースクール選びの参考となる資料をいくつか紹介したいと思います。
プライマリーからステート、グラマースクールの生徒の成績と、その近郊の物件も一緒に見れる便利なサイトです(有料)⬇︎⬇︎⬇︎。
https://www.locrating.com/schoolsmap.aspx
Progress 8という基準を元に順位をつけています⬇︎⬇︎⬇︎。Progress 8に関してはここをご覧ください。
大学入試に関わるAレベルの結果を元に順位をつけています。2018年の結果です。⬇︎⬇︎⬇︎
オックスフォード、ケンブリッジ大学に最も生徒を送った学校が紹介されています。⬇︎⬇︎⬇︎
The Telegraphのデータを参考にファイルを作りました。2017年から2019年にかけてオックスフォード、ケンブリッジに学生を送ったセカンダリースクールのリストです。
大学の世界ランキングが最近発表されました。⬇︎⬇︎⬇︎
イレブンプラスおすすめ参考書はこちら↓
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‘ふわりいぎりす’は、イギリスにいる日本人ライターたちが気が付いたこと、発見したこと、知っていること、思ったこと、教えたいこと、気になることなど、ちょっとだけお伝えするウェブマガジンです。
キャッチメントエリア方式というのは正確ではない情報なので一言。
グラマースクールはキャッチメントエリアの生徒優先ですが合格スコアは
キャッチメントであっても外部であっても同じです。
(もし別にもうけている学校があれば問題になると思います。)
キャッチメントで合格した生徒を入れてそれでも学校に空きがある場合に
外部からの合格した生徒を入れるシステムです。
大きなグラマースクールであれば60%は外部からですよ。
コメントありがとうございます。合格スコアというより、それぞれの学校のカットオフスコアの話で、キャッチメント内と外の生徒の昨年の入学できた生徒の最低点数を基準として見ています。それが、外部の子はもちろん枠が小さくなるので必然的に点数が高くなります。ケントの例ですが、Judd Schoolのキャッチメント内で入学した生徒の最低点数は2019年は385点(423点満点)、外部の子は407点が最低点数でした。他の学校もこういった昨年のカットオフスコアが出ていて、それを参考に志望校を決めていきます。
こちらの説明でいかがでしょうか。本文も枠の話を加えて若干修正したので、もし、またコメントありましたら、ぜひ、こちらに返信ください。ありがとうございます。