

背筋がかなり凍った話
こんにちは、あずきです。
2週間のイースター休暇も終わり昨日から学校が始まりました。あずきの家族はホリデーということで。。。
どこにも行きませんでしたーーー (泣
あずきの夫の仕事は学生さんを対象としているのですが、GCSEやA-Levelといった学校の試験を受験する学生さんたちにとってはイースター休暇は大事な試験準備のラストスパートという時期。なので毎日仕事してました。
あずきも仕事と子供の予定をなんとかやりくりし、やっと、やっと学校が始まってくれました。ありがとう、学校!
さて、本題ですが、背筋にゾゾゾっと寒気が走った話をしたいと思います。
ふわりイギリスという名前にふさわしくなく、全くふわりふわりしていないので書こうかどうか迷ったのですが、最近そればっかり考えているので、書こうと思います。
今イギリスを初め世界中で配信されて以来、一番議論を引き起こしているであろう、これ。
みなさん視聴しましたか?Netflixにて3月13日より配信が開始されました。
ドラマ制作の始まりは、俳優のSteven Graham(スティーブン グレアム)が何気に見ていたニュースがきっかけでした。
イギリスのとある町で10代の若者がナイフの殺傷事件を起こした。それから間もなく別の街で同じような事件が起こる。
一体若者の世界に何が起こっているんだ!?
イギリスのナイフ犯罪についてはAkiiikoさんによるこちらの記事をご覧ください。
ドラマは4話構成で、(少しネタバレ含みます)
1話 ― 少年が逮捕された日 ― 武装警官たちが容疑者の少年の自宅に押し入り、逮捕、警察に搬送され取り調べを受ける。
2話 ― 殺人発生から3日後 ― 担当刑事が事件の取り調べをしに被害者と容疑者の学校を訪れる。刑事は同じ学校に通う息子からソーシャルメディア上での絵文字に隠された本当の意味を知らされる。
3話 ― 事件から7か月後 ― 法廷心理学者が少年の拘置所を訪れ精神鑑定のための面接を行う。少年と被害者との関係、少年の攻撃性、少年の”男らしさ”に対する意識が少し明らかになる。
4話 ― 事件から13か月後 ― その後の少年の家族のある一日を描く。
と1話それぞれ約1時間程度ですが、シーン毎にカットしてつなげるという方法ではなく、カメラをずっと止めずに回し続けて撮影するというワンカットの方法で撮影されたということでも話題となっています。
毎日のように殺人や暴力による事件が起こっていて、そのニュースを見聞きするたびに心が痛くなるのは事実ですが、ではその後は?
殺人事件が発生して被疑者が確保、取り調べを受け、逮捕、起訴された。まではニュースでよく伝えられますが、では何故その犯罪が起こってしまったのか。
WHYの部分が判明するのには相当な時間がかかります。
そしてそれが判明し始めた頃にはもう別の事件が起こっていてニュースが追うのは新しい事件ばかり。
このドラマはその何故?と少年を取り巻くものを色々な角度から見つめたドラマだといえます。
私がこのドラマを観ていて背筋がぞぞぞとした瞬間は、刑事の息子が父親の捜査が完全に空回りしていることを見かねて助言するシーン。(かなりネタバレ含みます)
被害者が加害少年のインスタグラムに頻繁にコメントしていることから両者は友達関係にあったと考える大人に対し、被害者の使っていた絵文字には裏の意味があり、これは友達への温かいコメントなどではなく、少年を見下し、ソーシャルメディアという”人前”で恥をかかせ、晒し者にするというひどい行動でした。
この絵文字の裏の意味、いわばコード、暗号のように絵文字を使っているという現代の子供達の実態 を知り、まさに顎が(Jaw)落ちる(Dropping)ほど唖然としたのが忘れられません。
Steven Grahamとドラマ内での刑事と同様、「一体何が起こっとるんじゃーー!」というくらい私も全く知りませんでした。
Emojiと世界で使われている絵文字。ポケベルで使われたのが始まりとなり、携帯電話で広がり、今や世界で使われている”文化”と化した絵文字。
”かわいい”が大好きな日本人ならではの新しいコミュニケーションの方法。普通の文面だと味気ないのをデコレーションする作用もあり、一見冷たく見える文面も絵文字を付けると柔らかくなる。そういう日本人気質の詰まった絵文字、だったはずですが、
それが今や暗号として意味を含み(恐らくネガティブな意味が多いのでは)、人を意図的に傷つけるツールとなっているのです。
ハートの絵文字でさえ、色によって意味が異なるとか(!)。
赤:Love、ロマンスの愛、純粋な愛、家族の愛
オレンジ:友情、家族愛、励まし
黄色:好きだけど、私のこと好き?付き合う?
ピンク:まぁ好きだけどそこから先へは進まない
紫:ちょっとエッチな気分
青:好きだけど友達として、かわいい

話は少し逸れますが、イースターの前に日本の春休みを利用して、あずきの兄家族がUKへとやってきたんです。16歳の甥っ子、13歳の姪っ子、8歳の甥っ子と兄夫妻で。
上の二人は典型的なTeenagerで二人ともスマートフォンを持ち、姪っ子はインスタグラムのアカウントを持っているので、その写真を編集するのに忙しい。それでないときは画面を鏡にして前髪チェック。
甥っ子は、、、
何を見ているのかもわかりません。
でもちょこっと姪っ子に、「絵文字とか使う?」「ハートとかめちゃ色あるやん!」と振ってみたところ、
なんと!!
姪:「そだよ。色によって意味違ったりするんだよ。」
叔母:(うわ、知ってる!ちょっと聞いてみよ。)「えー意味ってどういうこと?」
その後の会話は上に書いたものとほぼ同じ。オンライン上ではもっといろんなバージョンがあって意味も色々違うのもあるらしいのですが、
紫を「エッチ」という姪っ子に叔母は驚愕で、しばし言葉を失いました。
さらなるゾゾゾの瞬間は、
さらにその少年の傷ついた心の隙間にうまく入り込み、少年の女性に対する嫌悪を助長していったのがソーシャルメディアだということ。
第4話で、少年の両親が、何を誤ったのだろう、どうしたらよかったのか、と自責の念にかられ嗚咽をもらしながら二人して泣くシーンがありますが、その時の母親の、
学校から帰ってきてもずっと部屋にこもりきりで夜中までコンピュータを見てたが、「部屋にいるから安全だと思った。家の中にいてどんな害があろうか。」と安心していた。
でも実際にはそのコンピュータの画面の奥に大きな闇のような世界が広がっていた。。。
例えばこのドラマの少年の場合、ちょっと気になる女の子を誘ったら(詳細は省きます)、拒否され、さらにはインスタグラムで”Incel”*呼ばわりされた。
*Incelとは、Involuntary Celibateのことで直訳すると、不本意に禁欲している、独身であるとなりますが、いわゆる本人は希望しているが、”異性との交際経験が長くなくこの先ヴァージン”というような意味で、孤独や疎外感を感じる一方、時には女性嫌悪と過激化し暴力的な思想、行動に結びつく危険性も指摘されている。若年層の白人男性に主に使われているが日本でもソーシャルメディアなどで広がり、インセルという言葉は使われることもあるが、欧米のような攻撃性の傾向は少なく、むしろ引きこもったり、自己否定に陥るというネガティブなものを意味する様子。
家に帰ってインターネットで「モテる方法」などと検索 → いろいろなアドバイス動画、サイトを見る → Incelという言葉を発見 → オンラインコミュニティを見つける
とかいった要領で、知らず知らずのうちに意図していなかったサイトを次々と見るうちに、
モテない → 女が悪い → 女はこういう理由で悪だ → 悪いやつらを痛い目に合わせなければ
というような過激なアイデアがインプットされていってしまう、というようなことは簡単に起こりえるのです。
そしてソーシャルメディアの恐ろしいところは、Feed(えさを与え)し続けるということ。
あずきのソーシャルメディアの広告やおススメとして出てくる動画は、
1.日本のお笑い(特に「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」「しゃべくり007」)
2.簡単レシピ(特に「子供爆食」、野菜、などがキーワード)
3.海外観光客の日本旅行レビュー(夏に日本に帰りますんでね。調べもの)
とあとはエクササイズ動画がわんさか。
でも一度目を止めて見たら最後、次から延々と同じようなのが送られてきて、次、また次と見始めたらずっとスマートフォンを見ている、なんてことは誰にでも経験があるはず。
それがMisogyny(女性嫌悪、蔑視)を謳うもので、自分と同じ経験をした人達の声だったとしたら。
インフルエンサーの影響も多くあります。インフルエンサーはそう言われているだけ、やはり人の心に訴える力を持っているのだと思います(全くもって肯定しているわけではないです)。ましてや心の成長期にある思春期(Adolescence)の傷つきやすい、もろく危なっかしい心を掴むのなんてたやすいこと。
では、どうすればいいのか?
どうすればいいんでしょう。スマートフォンを取り上げますか?インターネットの接続を止めますか?
このドラマは「どうしたらいいんだろう!!」と思い、家族で、学校で、友達と、同僚と、「話す」絶好の機会を与えてくれています。

あずきの子供はまだまだ小さいですが、スマートフォンをすぐに触りたがります。
そりゃそうですよね。両親にとってはなくてはならないもので、四六時中手に取って見ているんですから。
このサイバーの時代を生きていくのはなんて大変なことだと今から心配は絶えませんし、どうしたら子供を守れるんだろうなんて大それたことに対する答えなんてないですが、
子供と一緒に過ごす時間を増やそう、子供の言っていることを手を止めて聞こう、子供と色んなことを話そう。
そんな普通のことを思った夜でした。
キア スターマ首相も十代の子供と一緒に観たというこのドラマ、まだ見ていないという方は是非。
俳優さんたちの演技も素晴らしいです。
次回はふわりふわりとした内容を書きたいと思います!
あずきでした。最後まで読んでいただきありがとうございます。♡(←オレンジで!)
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