春の日本滞在記3
先日、不覚にも夫の職場のテレビ会議にすっぴん、パジャマで写り込んでしまったちこちゃんです。
だらだらと続いておりますわたくしの日本滞在記、今回が完結編となります。約束します。(1はこちら、2はこちらからお読みいただけます)
続きは、日本から英国への帰国便が欠航になってることがBAのアプリで判明したところからです。
パニック状態で、BAやJALのウェブサイトやアプリのいろんなところをクリックするも、欲しい情報が見つからない。直接電話してみるも、全然つながらない!しばらくしてBAから来たメールにも、「欠航の場合の振り替え便のご相談はこの電話番号へ。でもたぶんつながらないと思うけど」みたいな文面。しかもその番号は国際電話のロンドンナンバー。夫に頼んでその番号にかけてもらうも、やはり全くつながらない。当時イギリスのニュースでは、BAの欠航時の顧客対応の愛のなさが問題になってたくらいです。
そこでわたしは冷静になってもう一度BAからのメールを読み返しました。「チケットを当社のウェブサイト以外から購入した方は、その旅行会社へ連絡してください」
うっ!そうやった。チケットを買ったのはブリティッシュエアウェイズではなかった。じゃあどこだった?エクスぺディアだった?ラストミニットドットコムだった?
ちがう!フィンエアーだった!!
フィンエアーのウェブサイトに行くと、隅っこにライブチャットのフレームがあるではありませんか。
「おっしゃ!」
そしてわたしは聞かれるとおりに、自分の詳細を打ち込みます。
「お客様のフライトは今から72時間以内ですか?」
「No」(その時点で5日前とかだった)
「お急ぎの方の対応で手がいっぱいなので、72時間以内になってからまた連絡してください」
「…」
わたしはあきらめず、翌日も同じライブチャットにチャレンジしてみました。再度詳細を打ち込み、何が知りたいかを聞かれたので
「便が欠航になったので振り替えてほしい」と打つと、
「私ではわかりかねますので、人間のスタッフと替わります。少々お待ちください」
あんたボットちゃんやったんかいなぁ。そうそう、早く人間を出して!
すると、そのチャットボックスには、「あなたは今行列の何番目」という表示がされます。そして、徐々にその数字が減っていくのがわかります。なんて愛に溢れた対応なの、フィン。
そしてわたしの順番が来ました。担当者さんが、要領よく、わたしの選択肢を教えてくれます。そしていくつか検討させてもらった結果、予定の二日後の羽田―ヒースローJAL(BAコードシェア)便で帰ることにしました。朝の便であるため、当日に大阪から移動することは不可能なので、その前日の最終関空―羽田JAL便に乗ることにました。もちろん全部無料です。
フィンエアー、そしてワンワールドアライアンス(JAL、BA、フィンエアー等が提携している航空会社のグループ)よ、ありがとう。
そうして予定よりも京都での滞在が一日伸びましたが、無事に英国に帰れることになりました(「あんたが帰ると淋しい」と泣く未亡人を置いていくのは後ろ髪をひかれるようでしたが。でもご安心ください、未亡人には私以外の子供、嫁、孫がついています)。
すかっすかの関空までは、相乗りタクシーを利用しましたが、利用者はわたしだけ。関空から京都の病院まで乗った個人タクシーと比べ、7分の1 の運賃で、VIP気分を味わえました。2個のうち1個は食品がパンパンに詰まったスーツケースも関空預けでヒースローまで持って行ってくれるそう。日付が変わっても24時間以内なら預けっぱなしOKというのは、知らなかったので本当に助かりました。機内持ち込みも合わせたら50kg超えてた荷物 (こしひかり5kg込み) を、一人で羽田でゴロゴロするのは絶対イヤだったから。
羽田空港内にある、ビジネスホテルでもカプセルホテルでもない(つまりその中間)「ファーストキャビン」という宿泊施設を利用できたのもちょっとした冒険でした。これは自費ですが。
羽田からのフライトは、予想通りすかっすか。エコノミーで 日本人客はわたし一人という状況でした。ヒースローに着くと、平時なら日本のパスポートだと入国審査もなく自動改札スルーのところ、日本人はこっちと、審査官のいる窓口の方へ促されました。わたしは身構えました。熱もないし、咳もしてないし、住所を記載した免許証も持っている。
「日本から?ビザのページどこ?どこに住んでんの?仕事は?旦那さんも仕事ちゃんとやってる?いい旦那さんだね…」世間話かい。がくっ。コロナの「コ」もロックダウンの「ロ」も出てこなかったぞ。
そして、すかっすかのヒースローから家族の待つ家へと、すかっすかの車道を、夫の運転する車に揺られ、戻っていきました。さあこれから、本格的なロックダウン生活の始まりです。夫がわたしと距離をとってると思うのは気のせいかしら...
完
あとがき
超個人的な長い備忘録を、最後まで読んでくださったあなたさま、本当にありがとうございました。イギリスに戻ってほぼ4週間になりますが、おかげさまで、京都で濃厚接触した家族や親せきも、イギリスの家族も元気にしております。本当にありがたいことです。
今回の旅は、まさかの連続でしたが、いろんな面でタイミングが絶妙でした。こんなに見えない力を感じたことはありません。せっかちな父は想像していたより急いでこの世を去ったけれど、もし同じことが今起きたとしたら…
実はわたしがヘルシンキから関空に着いた数日後、日本では水際対策強化ということで、イギリスからの帰国者も規制の対象となり、症状の有無に関わらず、ホテルまたは自宅での14日間自主待機が求められ、そこまでの移動もタクシーを含む公共交通機関の使用は禁止となりました。今なら、空港で感染の有無を調べるPCR検査があり、結果を待つ間空港のホールで段ボール製簡易ベッドの上で夜を明かすこともあるとか。検査の結果が陰性で、空港から出られたとしても、高齢の母のいる実家には14日間は行けません。ICUどころか病院の建物に入ることすら不可能です。それよりもまず、飛行機が飛んでいません。
それぞれの時点で、両国の指示に反する行動はとってはいませんが、この非常時に父の最期に立ち会えたこと、そして同時に自分がウィルスキャリアでなかったことに感謝するしかありません。
これを読んでくださっている中にも、大事な人と遠く離れて住んでいる方がおられることと思います。何がいつ、どんなタイミングでなんて、だれにもわかりません。とりあえずわたしは、生前よりも身近に感じる父に向って手を合わせ、 未亡人とは、頼りになる姉を介して、前よりも頻繁にビデオ電話をしようと思っています。
来年の一周忌には夫と娘たちと戻ります。戻れるといいな、桜の咲き始めた、観光客でいっぱいの京都に。
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